2015年03月21日

メタモルフォーゼ〜ベルニーニの彫刻

ローマのボルゲーゼ美術館で、ベルニーニの彫刻に度肝を抜かれました。何という表現力!

「アポロとダフネ」の彫刻は、キューピットから恋に落ちる金の矢を放たれたアポロが、恋を拒む鉛の矢を放たれたダフネを追いかけ、逃れられなくなったダフネが河神の父に懇願すると、月桂樹に変容するというギリシャ神話を表したもので、ダフネが月桂樹に変容する瞬間が描かれていますが、動かぬ彫刻がこんな瞬間を表現できるとは、実際目にしても信じられないほどでした。
彼女の指先は月桂樹の葉に変わり始めていますが、この葉の部分を叩くと、もうすでに石の音ではなく、クリスタルを叩いたような音が出るんだそうです。石そのものも変容を遂げているんですね。
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「プロセルピナの略奪」は女神プロセルピナが冥府の神プルートー(ギリシャ神話で言うハーデス)に連れ去られようとするところを描いたもの。ハーデスに連れ去られれば、生涯陽の目は拝めない。もがく彼女の目からこぼれる涙までが描かれています。また、ハーデスの指が彼女の肉体に食い込んでいるのがわかる彫刻。これが大理石による彫刻なのかと目を疑いたくなります。その迫力には驚愕するしかありませんでした。
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ベルニーニやミケランジェロといった彫刻家にとって大理石は単なる石という塊ではないのでしょう。
ラフマニノフやホロヴィッツといったピアニストが、ピアノという楽器から耳を疑うような音を出せたのも、同じような芸術的行為。
こういった芸術は、人間の意識が目で見える物理的なものにがんじがらめになっている間は生まれないのでしょう。
そんな思いを噛みしめたボルゲーゼ美術館でした。
posted by 英代&フレンズ at 10:11| 日記